家屋を解体して更地にすると固定資産税が6倍に?空き家対策特別措置法で大損しないために
現在の日本では少子化が進んでおり、一人っ子同士が結婚すると片方の建物は、子どもが継ぐ事が出来ず、親も高齢者施設に入るようになると、空き家になってしまいます。
基本的に住宅は、人が住んでいてもいなくても、年月を経れば次第に老朽化していきます。
実際に人が住んでいれば、リフォームをしたりする事で生活に仕様がない状態をある程度保つ事が可能です。
しかし人が住まなくなり放置された状態が長く続くと、敷地内は雑草だらけになってしまいます。
庭に木が植えられていると、枝や葉が伸び放題になり、放っておくと庭の外まではみ出してしまい、その結果通行人や車の往来に支障をきたす事にもなりかねません。
建物も窓ガラスが割れたり、屋根瓦が落ちてきたり、建物が傾いたり倒壊したりすると大きな事故にもつながってしまいますし、治安上あまり良くないです。
だからといって近所の人が敷地内に入って、掃除をしたり撤去するという事も出来ません。何故ならこれらはその土地の所有者の所有物だからです。
こうした現状が全国的に増える傾向にある為、何とかしようとして作られたのが空き家対策特別措置法です。
この法律はどのようなものかというと、従来は周辺地域で問題になっていたとしても、個人所有の財産なので勝手に敷地内に入ったり、建物を撤去するという事は不可能でした。
しかしこの法律が施行された事で、対処出来る様になり、現状がどうなっているかを調べる為に、敷地内に入る事が出来る様になりました。
各市区町村は、固定資産税を徴収する為に不動産情報を持っており、この情報を元に現状把握していき、対策が必要と判断された場合は、「特定空き家」に指定して対処する事になります。
ではこの「特定」とはどういう状態の事かというと、建物が存在しながら普段は誰も住んでいないという状態が普通です。
それに加えて、倒壊や安全上危険の恐れがある状態や、衛生状態がよくない状態だけでなく、それらに対して適切な管理を行わず、景観を大きく損なっている建物が対象になる可能性が高いです。
それ以外にも、周辺住民の生活環境の保全を図る為に、放置しておくのが不適切と判断されると対象になる場合があるので注意が必要です。
しかし各市区町村の行政が対処をするといってもいきなり建物が撤去される訳ではありません。
指定されると、まずは所有者を探して、その所有者に修繕可能であれば修繕を促し、修繕が出来ないのであれば、解体するように助言や指導を行ないます。
助言や指導を行なっても、所有者が何も行動を移さない場合は、期限を定めた勧告を行ない、この勧告にも従わない場合は、猶予期間が付いた改善命令が出されます。
それでも所有者が何の対処もせずに猶予期間が過ぎると、遂には強制対処の対象になり、建物は解体され、それにかかった費用も負担しなければなりません。
こうして更地になると、固定資産税も今までより数倍高く支払う羽目になり、大損してしまうので、そうならない為には対策をとる事をおすすめします。
では「特定空き家」に指定されないにはどうすれば良いのかというと、一言で言えば定期的に管理する事です。
住んでいなくても、1週間に一度、無理な場合は1ヶ月に一度でよいので訪れて、窓を開けて室内の空気を入れ替えたり、部屋の掃除を行うと良いです。
庭の雑草もきれいに刈り取り、木も伸びすぎずに剪定しておきましょう。また人が住める状態ならば、賃貸で貸すというのも選択肢の一つです。
このように長期間誰も住んでいなくても、きちんと管理がされていれば、すぐに指定される事はありません。
不動産を所有していると所有者には固定資産税が課されます。
そして住宅用地には優遇制度があり、小規模住宅用地だと固定資産税は6分の1に、一般用住宅用地は3分の1に軽減されていました。
しかし空き家対策特別措置法が施行される事で、税制改正も合わせて行われた結果、「特定空き家」に指定されてしまうと、この優遇制度から除外される事になりました。
以前は、たとえ誰も住んでいなくても住宅が建っている土地にはこの優遇制度は適用されていた為、ボロボロで今にも倒壊しそうでも解体しないでそのままにしておく方が税金も安く済ませる事が出来ましたが、法律が変わり、これからはそうもいきません。
だからといって、解体して更地にしたところで税金が安くなるわけではありません。
とにかくこの法律で大損しない為には、たとえ住まなくなったとしても、指定されないようにきれいに管理をしておく事が重要です。
また、いっそのこと売却してしまうというのも一つの方法です。
住宅をどうしても残しておきたいのであれば、済んでいなくてもこまめに訪れて、きれいに管理する事が必須です。
それが出来ないのであれば手放すという選択も考えておきましょう。
立地条件の良い都市部であれば、十分ニーズはありますし、地方でも最近は田舎暮らしを希望する人も増えてきているので、買い手が見つかる可能性は十分あります。