不動産売却、マンションを売却して損失が出たときの確定申告は
家を売却したときには税務署に対する確定申告の手続きが必要になってくることがあります。
一般的なサラリーマンの場合には、所得税の納税とはいってもすべて勤務先の会社の給料からの天引き、いわゆる源泉徴収が普通ですので、わざわざ税務署に出向く機会はほとんどないのが実情です。
しかし不動産が関連する場合は特別で、生活をする上でメインになっている給与所得とはまた別の原因で所得が発生しました。
そのままでは税務署がその所得を捕捉することができません。
そのためにサラリーマンのような立場であっても申告の義務が生じるということは、理屈としてはある程度は理解できるところでしょう。
もっともマンションのような不動産を売却してかえって損失が出てしまった場合であっても、申告をしておいたほうがメリットが大きいことがあります。
原則的な税金の計算方法として、個人が土地または建物を譲渡して損失が出た場合には、それを同じく他の土地や建物を売り払って生じた所得から控除する事ができます。
要するに所得から損失を差し引くことできすが、会社で働いて得られた給与所得のような他の種類の所得から控除することはできません。
一般的なサラリーマンがいくつも土地や建物を保有していて、それを同じ年に売り払うことはまずありません。
その限りにおいてはあまりメリットはなさそうに見えます。
しかしこれには例外が存在しており、売却したマンションなどの不動産が居住用財産にあたる場合には、給与所得などの他の所得と損益通算ができるという規定があります。
しかもこのような損益通算を行ったとしてもまだ控除しきれないほどの損失だった場合には、譲渡した年の翌年以後3年間にわたって繰り越して控除することまで認められています。
せっかくの規定も確定申告をしなければ適用はされませんので、損失が出たとしても確定申告をしておいたほうがよい場合があるというのは、このことを指しています。
特例が適用されるための条件はシビアですので、あらかじめ確認をしておくことがたいせつです。
まずは一戸建てでもマンションでもかまいませんが、本人自身が住んでいるマイホームを譲渡することが必要です。
以前に住んでいたマイホームであれば、そこに住まなくなった日から3年目の12月31日にあたる期限までの譲渡に限られます。
ほかにも譲渡をする年の1月1日現在での所有期間が5年を超えること、
譲渡前年の1月1日から売却の年の翌年の12月31日までの間に床面積が50平方メートル以上のマイホームに買い換えること、
買い換えをした新しいマイホームにはそれを取得した翌年の12月31日までの間に住むこと、
買い換えたマイホームを取得した年の12月31日現在で償還期間10年以上の住宅ローンがあることなどが条件になっています。
つまりはサラリーマンなどにとっては住宅ローンの負担があまりにも重いため、これを税制上の措置で軽減することによって、国民が良質な家に買い換えることを応援しようとする趣旨の制度です。
制度の趣旨に照らしてみれば条件がシビアというのも頷けますが、さらにもうひとつ、別の制度があることも忘れてはならないところです。
この制度は住宅ローンがまだ残っているマイホームを、その残債の金額を下回る価格で売却したために損失が発生した場合について適用されます。
同様に譲渡損失をその年の給与所得などの他の所得から控除できるというものです。
損益通算によって控除しきれなかった場合には、翌年以後3年内に繰り越して控除ができる点も同じといえます。
こちらの特例のほうは、たとえ新たなマイホームを取得しない場合、つまりはマイホームの買い換えをしなかった場合であっても適用することが可能です。
特例の適用条件についても似ている部分が多いので下記に紹介します。
たとえば
本人が住んでいたマイホームを売却すること
譲渡の年の1月1日現在での所有期間が5年を超えること、
売買契約日の前日時点で償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること
マイホームの譲渡価額が住宅ローンの残高を下回っていること
などです。
これらの特例の適用を受けたい場合の確定申告ですが、当然ながら申告書そのもののほかにも、条件を満たしていることの証拠となるような書類を添付することが必要となります。
そこで一般には譲渡損失の金額の明細書や損益通算および繰越控除の対象となる金額の明細書、新旧のマイホームの登記事項証明書、住宅ローンの残高証明書などといった書類をあらかじめ取り揃えておくことになります。
こうした書類を用意するだけでもいくらかの手間がかかります。
国税庁の公式ホームページのなかにあるタックスアンサーの記事などを参考にしながら、漏れのないようにひとつずつクリアしていくことが望まれます。
ほかにも国税局ごとに電話相談センターなどの相談窓口を開設していますので、こうしたところを利用する方法もあります。